VOL.109 日本の香り文化のはじまり
島みるをさん
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これまでは、ヨーロッパを中心とした海外のアロマの歴史をご紹介してきました。
今回から数回にわたり、日本における香りの歴史をご紹介します。
日本って実は古来より「香り」にとっても敏感なお国柄なんです。
それは文献をたどってもわかります。
香りについて記述のある最も古い文献は、あの『日本書紀』なのです。
日本書紀には、推古天皇3年に(595年)に、淡路島へ『香木』が漂流したことが記されています。
『沈香(じんこう)』という、ジンチョウゲ科の香木です。
香木とは広義的にいうと、樹木からとれる香料全般のことをさします。
なかでも日本書紀に記されている『沈香』は、樹木内に樹脂が長い年月を
かけて形成され、熟成ののち良質な香材となったもののこと。
原木自体は軽いのですが、樹脂が沈着した部分は水に重く沈むために
『沈香』という名がついたそうです。
そのままではそこまで香らないのですが、加熱するとなんともいえない
甘くて濃厚な香りを漂わせるのが特徴的。
その香りには鎮静効果があるとも言われています。
同じく、香木の代表で『伽羅(きゃら)』というものがあります。
沈香のなかでも最上級のものをさします。
生産量が僅少ため、古来より金と同じくらいの価値があったと
言われています。
日本には香りを楽しむ『香道』というものがありますが、
伽羅はその香道の主の香材となるものです。
この原稿を書いていて思い出したことがひとつ……。
10代の頃のボーイフレンドから
もらった最初のプレゼントが、
実は香炉と伽羅でした(笑)。
「な、なに……これ。というか、なぜ、これ?」
と驚いた記憶があります。だって10代ですよ!
今考えたら、とても風流な趣味を持つボーイフレンドだったんだなあ、
と今更ながら温かい気持ちになりました。
でも本音を言えば……アクセサリーのほうがよかったのだけど!
(島みるを)
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