VOL.88 「医療・病院」のはじまり
コラム
中世ヨーロッパではキリスト教が
広く信仰され、
紀元前300〜400年頃になると、
イエス・キリストが苦しむ人々を
癒す神となりました。
そのなかで、修道院は病気の人々を癒す医療施設となっていきます。
中世のヨーロッパでは、修道院で薬草を栽培して治療に活用し、
修道士たちが医療の知識を後世に伝えるという重要な役割を
担っていきます。
これが『僧院医学(修道院医学)』
ヨーロッパにおける病院のはじまりです。
この僧院医学の発展により医学校が次々に開設され、
イタリアのサレルノやフランスのモンペリエの医学校は、
のちに医科大学へと発展していきました。
サレルノは、南イタリアの保養地。
ここに開設された医学校では、修道院で収集・整理された
古代ギリシャ・ローマ医学が講義されました。
このサレルノ医学校の名声・活躍はヨーロッパ中に広まり、
医学全体を支配するようにまで発展していきます。
これら医学校建設の背景には、
1096年から約200年もの間行われた
十字軍遠征が深く関係しています。
イスラム世界の知識と学問をヨーロッパにもたらし、香りの文化に影響を与えたと言われているからです。
すべての歴史が、医療、そして香りの発展につながっていることを考えると、感慨深いものがありますよね。
少し時代はあとになりますが、イタリア・フィレンツェにある
『サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局』は、もともと修道院の修道士たちが
薬草を栽培して、薬剤を調合したのが起源。
わたしはここの商品が大好きで、フィレンツェを訪れた時は必ず寄って、
大量に商品を買ってしまいます。
なかでもお気に入りは、パッケージと香りが素敵な石けん、
そしてすずらんの香りのオーデコロン。
天然香料なので香りは飛びやすいのですが、使う度に
幸せな気分に包まれる大切なアイテムです!
(島みるを)
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