VOL.95 『革手袋』の流行
コラム
今回は近世フランスでの香りの発展のお話に触れたいと思います。
アロマに手袋?と思われるでしょうが…
ヨーロッパの香料産業は、手袋の製造業と切っても切り話せない関係性にあります。
香料の発展に『十字軍』の活躍があったことは
以前の記事でもご紹介しましたが、
十字軍として遠征した騎士たちがもたらしたひとつに、
香りつきの手袋というのがありました。
イスラム兵の『腑香手袋』を持ち帰ったのです。
騎士たちが持ち帰ったこの香りつきの手袋は、
ヨーロッパの社交界で大流行することとなりました。
この手袋の製造業の中心地だったのが、南フランスのグラース地方です。
流行にあわせて、グラースでは香りつきの手袋の生産が発展していきます。
もともと革には独特のにおいがあるため、そのにおい消しとしても革産業地だったグラースでは、香料の生産もまた発展していきました。
グラースといえば、いまでは「香水の地」としてあまりにも有名ですが、実はもともとは革、そして手袋の製造の付属として生産していた「香り」が徐々に発展していったのです。
歴史をひもとくと、香りの発展にもきちんとした意味があって、面白いですよね。
(島みるを)
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