VOL.84 アロマの歴史③皇帝ネロは「無類のバラ好き」🌹
コラム
古代ローマ皇帝ネロ(37年〜68年)は、歴史上では「暴君」として悪名高き人物ですが、一方で大のバラ好きとしてあまりにも有名です。
そのありさまはまさに「クレイジー」と表現してもよいほど!
例えば、宮殿で行われる晩餐会では、部屋中をバラの花で埋めつくし、天井からはバラの花びらを「これでもか!」と散らせ、バラの香りを移した水をテーブルに降り注いだ……と言われています。
そのバラのどしゃ降りの重みで、なんと「来客が窒息死した」という逸話まであるようです。
人々を圧迫するほどのバラ好き……いやバラ責めをしたと言われるネロ。
ここまでバラ好きが高じると、ほとんど狂気に近いですよね。
また、二人目の妻ポッパエアが亡くなった時は、遺体のなかにバラの香料を詰め、さらには遺体を香油に漬けたとも言われています。その際に使用された香料は、香料生産国アラビアでも10年分の出荷量だったという話。葬儀の時は、4キロ四方にわたってバラの香りが漂っていたのだそう。それだけネロが、妻とバラを愛していた……ということが伺えるエピソードですよね。
古代ローマといえば、公衆浴場の建設ラッシュが続いた時代。
漫画『テルマエ・ロマエ』ですっかり有名になりましたよね。
古代ローマ帝国では火災を防ぐために集合住宅の浴室の設置を禁じ、
そのかわりに公衆浴場を作り、人々の心と体を癒し清める場所を提供しました。
216年に完成した「カラカラの浴場」では、大衆が香油を互いに体に塗り合って香りを楽しんだとも言われています。
今ではアロマや香水の類いは「女性のアイテム」であることが多いのですが、当時はどちらかというと男性が積極的に香りを楽しんだり、香りの力を借りていたりしているような印象ですよね。
それだけ香りが持つパワーと効能がよりリアルに実感できていた時代だったと言えるでしょう。
(島みるを)
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