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VOL.87 精油のルーツは中世アラビアにあった?

コラム

古代ギリシャのヒポクラテス、古代ローマのガレノスの著書はアラビア語に翻訳され、

ギリシャ医学をベースにしつつ、イスラム周辺地域の医学的知識を統合した

『ユナニ医学』

が発展していきました。

中国医学、アーユルヴェーダ(インド伝統医学)と並び、世界三大伝統医学のひとつと称されています。

 

ちなみに「ユニナ」とは、アラビア語で「ギリシャ」を意味する言葉。

の名の通り、ギリシャ医学を受け継ぎ、

自然治癒と病気の予防に重きをおいている医学

なのです。

 

また、中世アラビア・イスラム世界では、8世紀から12世紀にかけて「アルコール」が発明されたり、「アラビア式蒸留法」が確立されるなど、医学や化学が目覚ましい発展を遂げました。

 

実は、アロマテラピーや精油のルーツは、

アラビアにあるとも言われています。

イスラム帝国時代に活躍した医師

『イブン・シーナー』(980年頃〜1037年頃)は、

ローズウォーターなどの芳香蒸留水を、

治療目的に使用としたとされています。

 

が記した『医学典範(カノン)』は、17世紀頃までヨーロッパをはじめとする各国で最先端の医学書として使われていました。

 

それまでも蒸留技術はあったのですが、イブン・シーナーは抽出物を早く冷却する装置を開発し、より濃縮された良質の精油を採ることに成功したのです。

このことにより、植物が持つ力と効能がさらに高まったことは言うまでもありません。

 

ちなみに現在では精油を蒸留する際の副産物として採取される「芳香蒸留水」

中世アラビア・イスラム社会ではこの芳香蒸留水そのものを得るためだけに

蒸留が行われていたそうです。

現在のイスラム社会でも、

芳香蒸留水を手や体にかけたり床にまくなどして

心身や空間を清める習慣があるようです。

 

 芳香蒸留水を得るためだけに蒸留するなんて、

今思えば贅沢ですよね。

 

 

それだけ植物の力が絶大であることを知っていた……ということでしょうか。

 

(島みるを)

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