VOL.90 ペストから身を守るために…
コラム
中世ヨーロッパでは『ペスト(黒死病)』が大流行しました。
ネズミを感染源とした致死率の高いこの病気は、みるみるうちに全地球規模で広がっていきました。
当時の南フランスではこんな逸話が残されているそうです。
ペスト患者の死体から金品を
泥棒に『死刑』を免除するかわりに、
「なぜペスト患者と接触して
おきながら、感染しなかったのか」
その理由を明かさせたところ、
『ローズマリー、タイム、セージ、
ミント、ラベンダーなどのハーブを
酢につけこんだハーブビネガー』
を全身に塗っていたからだとわかった。
これらのハーブ、殺菌作用が期待できる植物として有名なものばかりですよね。
加えてこれまた殺菌効果の高い「酢」につけ込んで、パワーを増大!
泥棒とはいえ、自然の力をフル活用して「伝染病」に近づいていたなんて、智恵が働きますよね。
同時期に魔除けのための
『ポマンダー』が流行しました。
ポマンダーとは、オレンジなどのフルーツに
クローブなどのスパイスをさしたもの。
「病気は汚染された悪臭漂う空気に触れると移る」
と考えられていたため、恐ろしいペストの疫病予防や魔除けのために、
こういった香りのお守りを身につけることが考え出されたのです。
このように、香りと病気予防(魔除け)は、昔から密接な関係があったことがわかります。お守りでもあり実用的でもあったハーブとその香り。
わたしたちも先人の智恵をしっかり受け継いでいきたいですよね。
(島みるを)
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